2018秋_vol46
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  ―本日はよろしくお願いします!よろしくお願いします。この前、鹿児島に行った時、ちょうどルートインさんに泊まったんですよ。CMも拝見しました。―ありがとうございます!今回監督がうさ耕こく筰の友情物語ですが、ルートインホメガホンをとった映画『この道』は、童謡誕生100年を記念して作られた、天才詩人・北原白秋と秀才音楽家・山田テルズのCMソングに「この道」を起用しているご縁もあります。今回この映画を撮られた経緯を教えてください。プロデューサーからこの企画をもらった当初は、「この道」の作詞をした北原白秋の壮大な偉人伝だったんですよ。ただ、それを映画にするのはどうなんだろう?と思ったんです。20年以上前、一緒に仕事をしたこともあるミロス・フォアマン監督が『アマデウス』というモーツァルトの映画を撮ったんですが、それが人間くさくてユーモアもあって楽しくて。北原白秋のことも調べてみたら、実は遊び人でお酒ばかり飲んでいる人だったんです。そんな彼が童謡「あめふり」の「ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷ~♪」なんて詞をどうやったら書けるのかという部分に興味が湧きました。それに山田耕筰との友情を描くことで、映画がもっと楽しくなる気がしたんですね。この2人なら一番の楽曲は「この道」だろうということで、映画にすることを決めました。―主演の大森南朋さん、EXILEAKIRAさんの印象は?大森君と仕事をするのは初めてだったんですが、お酒が好きだったりバンドをやっていたりと、なんとなくやんちゃな印象があったので、こちらが思い描く白秋ができるんじゃないかということで彼に白秋役をお願いしました。AKIRA君は、耕筰を演じるうえで必要な指揮、ピアノ、バイオリンを全くの未経験から1ヶ月かけて猛練習してくれたんです。彼のお芝居への思いや元々持っている実直さが、この作品に表れていると思いますね。―童謡「この道」の描き方で意識された部分はありますか?この楽曲を主題に選んだのは、2人の人生という意味での「この道」をまず描きたかったのと、観てくださった方にそれぞれの道を考えてほしいと思ったんです。さらに伝えたかったのは、白秋が紡ぐ日本語の美しさ。今、若い方は特に言葉を短縮しがちですが、日本語とはこんなにも素敵で美しいものだということを、映画を通して皆さんに感じてもらえたら嬉しいですね。―ひと足先に映画を拝見しましたが、『この道』が描いているのは友情物語だけではなく、人との繋がりや家族のお話でもありますよね。羽田美智子さん演じる与謝野晶子が「これから日本はどこに向かっていくのか」とつぶやくシーンにもハッとさせられました。そこはまさに僕が意識したところなんです。この映画では、関東大震災や戦争について描いてますが、現代でも震災は起こっています。映画で人を癒せ今回は、映画『半落ち』で知られる佐々部清監督にインタビュー。来年1月公開の新作映画『この道』への思いや、ご自身の半生について、さまざまなお話を伺いました。● 『この道』公開に向けて映画監督10vol.12佐々部 清嘘のない感情は   人に伝わる

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